そうよ、諦めちゃダメだわ!
今度は公爵にきちんと見ていて貰えばいいし。

「……ごめんね、もう一度、厨房を借りてもいい?」

カエル達に尋ねると、カエル達はお互いに顔を見合わせて、言い辛そうにそろそろと言った。

「すみませんアリス、材料の方が……チョコレートがもうなくて」
「あ、そうなの? えっと、じゃあ私が買ってくる!」
「チョコならば地下に売っておるぞ。そっちの方が近いのではないかい?」

責任を感じているのか、公爵も話に加わってきた。
……地下かぁ。
……あんぱん達、今日は大丈夫かしら……。

「最近は大きな揉め事も無いみたいですけど……」

カエルの一匹がそう言って首を傾ける。

「と、とりあえず、行ってみるだけ行ってみるね」

チェシャ猫もいないから少し不安だけど、今日は身体の大きさも普通だし、前よりは大丈夫……だと思う。
カエル達についてきて貰うわけにはいかないし、公爵は今にも倒れそうだし、一人で行くしかない。
とりあえずそう決心して、私は地下のモールへ向かった。




前は洞窟のように大きく感じたモールも、今日は普通の地下街といった感じだ。
無人の泉の乙女の広場の前を通り、テナントが連なる通路を歩く。……なんか、シンとしている。
テナントのひとつにお菓子の材料を扱う専門店があるとカエルは言っていた。端っこの方みたいだけど。
……ああ、ここ通り抜けなきゃいけないんだよね。
二つ向かい合ったパン屋の前で一旦立ち止まり、深呼吸。何事もありませんように。
出来るだけ足音を立てないように歩いていると、ふと。甘い匂いがした。
これは、チョコの匂い?
はっと立ち止まって見回すと、どうやらパン屋の中から漂っているらしい。
……どっちのパン屋だろうか?



⇒鶴岡パン店
⇒ベーカリー・カメダ



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